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怜大くんの行っている訓練

 

 

 怜大くんは、2才のときからずっと続けている訓練があります。

 

 生まれてすぐの頃の怜大くんは、おんぶをしただけでも反り返ってしまったり、バギーに座ることも難しかったりと、とても緊張の強い状態でした。

 怜大くんの麻痺は、全身の筋肉が自分の意志とは無関係に緊張して、硬直してしまうタイプの麻痺です。

 週に1度の理学療法だけでは、最重度の全身麻痺になってしまう心配がありました。

 怜大くんのお父さんとお母さんは、何とか解決策は無いかと、色んな情報を探し回り、

 ようやく見つけたのが、「ブレインウェイブ法」という訓練でした。

 

 英国に本部のあるブレインウェイブ法は、「人間の脳は未発達のまま生まれてくる」ということを捉えて開発された、独特の訓練プログラムを行っています。

 そのプログラムをボランティアの人たちと毎日、重ねていくというスタイルをとっています。訓練を重ねることで、脳の代替機能を促し、麻痺を改善していくのです。

 

 この訓練を続けてきたため、怜大くんの身体は体幹がしっかりとし、強い麻痺もとれ、変形を防ぐことができています。

 しかし、私たちが訓練を続けている意味は、怜大くんの身体づくりだけが目的ではありません。もちろん、身体づくりは重要なことですが、極端なことを言ってしまうと、その成果はあってもなくてもいいという考えを、私たちは持っています。

 

 では、私たちが訓練を続けているもう一つの大きな意味とは……

 

 それは、訓練を通し、たくさんの人と出会うことで、怜大くんの世界を広げていくということです。

 

 私たちの行っているこの訓練は、大勢の人の手を必要とします。この訓練をすることで、怜大くんに関わってくれる多くの人に、怜大くんの持っている障害について知ってもらうことができます。

 そして、大勢の人に知ってもらうことで、怜大くんが地域で暮らす、あるいは学校に通うとき、怜大くんのハンデは軽くなっていきます。怜大くんを囲む大勢の友達が、怜大くんの手となり、足となってくれるからです。

 

 訓練は、障害を持った子にとっての「入口」です。

 

 将来、大人になったときに、もし援助が必要であれば、訓練でご縁のあった方々が、普段の生活を支援してくださる人の輪になっていきます。

 怜大くんは、自分では動けませんが、怜大くんをきっかけにできた輪が広がっていくことで、怜大くん自身の世界も広がっていくのです。

 

 私たちが、ボランティアさんを募って、訓練を続けているのは、そういう思いがあるからです。

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